ホーム > 住宅ローン > 住宅ローン知っ得コラム > 浅井秀一さんに聞く、「住宅ローンの借り換えに、最大のチャンス到来!」(その2)
前回ご好評いただきました、ファイナンシャルプランナー、浅井秀一さんのインタビューの続編です。
前回は、「フラット35」の金利水準が1%台になっていること、「フラット35」を借りていても「フラット35」で借り換えができるお話が伺えました。今回はどんなお話が聞けるでしょうか。
(楽天銀行:楽天銀行住宅ローン事業本部、取材日:2012年10月)。
楽天銀行:住宅ローンの借り換えメリットを受けるためには、
①借り換え前後の金利差が「1%以上」ある
②現在のローン残高が「500万円~1,000万円程度以上」ある
③ローンの残り返済期間が「10年以上」ある
という、3つの条件を満たしているかどうかが目安だと言われますが、この点はいかがですか?
浅井さん:原則的にはそうなのですが、金利水準の低い昨今では、金利差はもっと少なくても大丈夫です。
借り換えの際にかかる諸費用は、一般的には現在のローン残高の1%前後が目安ですが、この場合、諸費用をすべて含めて借り換えたとしても、「0.1%」ほど金利が低くなればカバーできるのです。
したがって、ローンの残高や残り返済期間によっては、現在のローン金利との差が「0.3%」ほどあれば、十分な借り換え効果が期待できる場合も多くなっています。
ただし、「フラット35」では、借入時の融資事務手数料が高いと、実質金利を押し上げてしまいます。
詳しくは後ほど述べますが、フラット35どうしで借り換える際には、表面上の適用金利どうしで比べる場合は、「0.5%程度」の金利差があるかどうかが、判断の目安になるでしょう。
楽天銀行:…ということは、現在の金利水準から判断すると、2.35%以上の適用金利でフラット35を借りている人には、おおむね借り換えのメリットがあるということですね?
浅井さん:はい。当初10年間の金利がさらに1%引き下げられるなど、有利な時期の「フラット35S」(=優良住宅取得支援制度)の適用を受けて借りている人を除けば、「フラット35→フラット35」の借り換えで恩恵が受けられる人は非常に多いと思いますよ。
本当は、借り換えでも「フラット35S」が利用できればよいのですが、こちらは新規でマイホームを取得する人しか利用できない点は残念ですね。
楽天銀行:具体的な借り換え効果の例を教えていただけますか?
浅井さん:下の【図表1】は、3年前に当時の最低金利水準でフラット35を借りた人が、今年(2012年)の11月にフラット35で借り換えた場合の効果の一例で、諸費用をほぼすべて含めて借り換えています。
借入金額が適度な額ですので、年間の負担軽減額(▲8.1万円)や、トータルの利息軽減額(約220万円)の数字を見て、大したことがないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、昨今のような不景気の時代に、これだけの負担減はありがたいはずです。
このケースでは、今後支払う利息の総額(3,281万円-2,331万円≒950万円)が、諸費用をほぼすべて上乗せして借り換えたにもかかわらず、借り換え後は220万円も少なくなりました。
利息の軽減割合で言えば、4分の1近く(23%)にも上り、これが将来的に確定するわけです。
【図表1】
楽天銀行:ローン金利が高かった頃は、「借りた金額と同じ利息を支払う」という状況でしたが、数年前には、「利息の総額は、借りた金額の3割~5割ほど」になっていたと記憶しています。
すでに十分な低金利のメリットを受けていた上に、このケースではさらに4分の1近くも利息が減ってくれるということですね。
これって、やっぱり、すごいことだと思います。
浅井さん:もう1つ、1年ちょっと前(2011年8月)に、2.35%の金利で借りた人の例もご紹介しておきましょう。
適用金利は、現在より0.5%低い水準ですので、一般的な定率型の融資事務手数料(融資額×2.1%)を勘案した実質金利で見ると、0.35%ほどの金利差しかありません。
借入金額(2,500万円)など、他の前提条件を【図表1】の事例と同じ条件で試算した場合、返済開始からまだ1年3ヵ月しか経っていないため、ローン残高は2,427万円も残っています。約73万円しか減っていないわけですね。
これに対して、「融資額×2.1%」の融資事務手数料がかかる取扱金融機関のフラット35だと、初年度の団体信用生命保険料(機構特約料)を含めた諸費用の総額は80万円近くになりますので、借り換え時の借入金額は、当初の借入金額よりも多くなってしまいます。
それでも、年間で約3.7万円、残り29年近くのトータルでは107万円もの負担軽減となるのです。
楽天銀行:1年ちょっと前に借りた人でも、そこそこの効果があるんですね。
浅井さん:そうなんです。年間で4万円近い金額が浮くわけですから、いろいろなことができますよ。
例えば、万一の保障を充実させるために、新たに保険に入ることもできますね。病気などで入院した場合に備える「医療保険」に加入してもよいでしょうし、掛け捨ての定期保険であれば、30代半ばの男性でも、この差額分で1,000万円ほどの死亡保障が60歳まで確保できる保険会社もあります。
また、将来に備えて、投資信託の積立や、貯蓄に充当するのもよいでしょう。
半年に一回、家族でディナーを楽しむ、というように、消費に回すというプランもありますね。
いずれにしても、「借り換え」というアクションを起こさないことには、何も始まりません。
楽天銀行:なんだか、ワクワクしてきました(笑)。
浅井さん:さらに別の事例ですが、3~4年半ほど前(2008年春~2009年夏)に「フラット35(30年返済)」を借りた人は、適用金利が3%前後でした。仮に、都市部でマイホームを取得して、借入金額が5,000万円であった場合、借り換えによる利息軽減額は年間で20~30万円、残り26~27年間の総額では540~730万円にも上ります。
楽天銀行:それはすごい! 当時としては低かったのでしょうけど、現在と比べれば金利が高かった時期に、たくさんの住宅ローンを借りた人ほど、借り換えで受けられる恩恵は大きくなるんですね。
楽天銀行:ここで、楽天銀行の宣伝になるのですが、ぜひともお伝えしたいことがあります。
楽天銀行では、現在、借り換えで「フラット35」を利用されるお客様に対して、融資事務手数料を引き下げるキャンペーンを行っています。
通常の「お借入額×1.365%」が、「お借入額×0.735%」になりますので、「フラット35」で借り換えを考えているかたは、メリットは大きいと自負しています。
浅井さん:私も注目していましたよ(笑)。半分近くにまで優遇しているんですね。
一般的な「融資額×2.1%」の取扱金融機関と比べた場合、約3分の1。…太っ腹だぁ(笑)。
楽天銀行:楽天銀行の融資事務手数料だと、借り換え効果はどうなりますか?
浅井さん:前述の3年前に借りたケース【図表1】の例で試算すると、年間で約8.1万円の軽減額が9.7万円程度になります。トータルでも220万円から、262万円に増えるでしょう。
理由は、融資事務手数料が少ない分、借り換え時の借入金額が少なくてすむからですね。
ローン残高(2,331万円)+他の諸費用(約28万円)に対する融資事務手数料は、「融資額×2.1%」だと50万円程度にも上りますが、楽天銀行さんの場合は、「融資額×0.735%」ですので、17万円ほどですみます。
適用金利が高かったり、ローン残高が多ければ、軽減効果はかなり大きくなりますね。
ご自身のケースで概算額を確認したい場合は、拙著(「いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!」)をぜひご覧ください。借り換え前後の金利差(著書では、適用金利ではなく、「実質金利」の差でご紹介しています)をいくつかピックアップして、ローン残高や残り返済期間に応じたトータルの負担軽減額を計算したものが一覧表で載せてありますので、借り換え効果の目安が把握できるようになっています。
もちろん、楽天銀行さんで試算してもらうのがベストですが(笑)。
楽天銀行:楽天銀行のことも宣伝していただき、ありがとうございました(笑)。
浅井さん:実際、金利が低くて、なおかつ融資事務手数料も安い「フラット35」を借りるべきなのですから、借り換えを検討している方には、この点をしっかりと認識していただきたいですね。
ちなみに、融資事務手数料が実質金利に与える影響は、「実質年率」という数字でも比較できますが、今回は、以下の【図表2】で説明させていただきます。
【図表2】
手数料:定率型の融資事務手数料が実質金利に与える影響
(借入金額3,000万円、返済期間30年、2012年11月に借入れた場合)
融資事務手数料 | 実質借入額 | 金利 | 毎月返済額 | 金利差 | |
---|---|---|---|---|---|
①融資事務手数料: 定率型(融資額×2.1%) | 63万円 | 3,063万円 | 1.85% | 110,932円 | 0.1452% |
②融資事務手数料: 定額型 | 3.15万円 | 3,003.15万円 | 1.9952% |
浅井さん:他の諸費用は除き、ここでは融資事務手数料だけを上乗せして、「フラット35」で借り換えた場合の試算結果を見てみます。
「定率型」のフラット35は、「融資額×2.1%」の例です。3,000万円を借り換える場合、借入金額は「3,000万円×2.1%=63万円」をプラスした、3,063万円となります。
金利は、2012年11月の最低金利水準(1.85%)で設定してあります。返済期間が30年なので、毎月の返済額は約11.1万円です。
一方、融資事務手数料が「定額型」のフラット35では、借入金額にかかわらず手数料は同じです。
取扱金融機関によっても若干異なりますが、今回は31,500円で設定してあります。
こちらの実際の借入金額は、3,003.15万円ですね。
次に、2つのフラット35の毎月返済額が同じ金額となる、手数料:定額型の金利水準を計算します。
こちらのほうが実際の借入金額が少ない分、金利が高くなってもカバーできます。
数字が細かくて申し訳ありませんが、計算結果は、表で示したように「1.9952%」でした。
このケースの「定率型」と「定額型」の金利差は、「0.1452%(1.9952%-1.85%)」。
逆にいうと、「融資額×2.1%」の定率型の場合、31,500円の定額型と比べると、「実質的な金利水準は、0.15%程度高い」ということになります。
楽天銀行:なるほど、このケースでは、「金利1%台のフラット35」と言っても、実際にはほぼ2%になるわけですね。
浅井さん:ちなみに、借入金額や金利水準による差は気にしなくてよい程度ですが、返済期間が短くなるほど、実質金利の差は広がります。前のケースで返済期間が25年の場合は、0.17%程度です。
なお、楽天銀行さんの手数料率(通常の1.365%が、キャンペーン期間中は「融資額×0.735%」)で同じように計算したところ、返済期間:30年の場合が「1.896%」の水準(金利差は「0.046%」)で、25年の場合は「1.9043%」(金利差は「0.0543%」)でした。
また、手数料率が「融資額×2.1%」のフラット35とも比較してみたのですが、実質金利はおおむね「0.1%」ほど低いという結果が出ています。
楽天銀行:ローンに付補する「団体信用生命保険料(機構特約料)」の負担も、実質金利に影響を与えると思いますが、こちらはどの程度ですか?
浅井さん:ご指摘の通り、団信保険料が金利に含まれている民間住宅ローンとは異なり、「フラット35」の場合は、保険料が毎年1回の別払いとなります。
返済が進み、ローン残高が減っていけば、特約料の支払額も徐々に減りますが、こちらは「年0.35%程度」の金利負担に相当すると考えておいてください。
手数料率が「融資額×2.1%」のフラット35では、この2つを合わせると「0.5%」ほど、実質的な金利水準は高いと理解しておきましょう。
とはいえ、既にフラット35を借りている方であれば、フラット35で借り換えをせずに、このまま返済を続ける場合も特約料の負担は続きますので、「フラット35→フラット35」の借り換えにあたっては、団信特約料の負担を除いた実質的な金利をもとに、比較・検討することになります。
楽天銀行:時間も迫ってきましたので、それでは最後に、ひと言、お願いします。
浅井さん:前回分の冒頭でもふれたように、現在は、住宅ローンの借り換えで家計を少しでも防衛することが欠かせませんし、そのための最大のチャンスが到来したと考えています。
この記事を目にされた方で、借り換え効果がありそうだと思ったら、積極的にアクションを起こしましょう。まずは妥協せず、少しでも有利な住宅ローンで申し込んでくださいね。
楽天銀行さんにも、いま以上に広く情報を提供されて、少しでも多くのかたが「住宅ローン金利・史上最低水準」の恩恵が受けられるよう、お願いしておきます。
楽天銀行:本日はありがとうございました。
私どもも、「楽天銀行・フラット35」の推進に、これまで以上に力を注いでいく所存です。
お読みいただいたみなさまからのご質問やお問い合わせを、心よりお待ち申し上げます。