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(2013年10月21日掲載)

コラム 勇気をもって変動金利を借り換えよう 1

個人金融の総合コンサルタントとして活躍されているホームローンドクター株式会社代表取締役 淡河 範明さんのコラムを掲載いたします。今後の金利リスクとコストの関係、金利が上昇した場合の住宅ローンに与える影響など、様々な角度から検証したコラムです。今後の借り換えを検討しているかた、金利と住宅ローンの関係が気になるかた、ぜひお読みください。

執筆 淡河範明(おごう・のりあき)さん

略歴
住宅ローンを借りたい人と金融機関のマッチングサービスを手掛けるホームローンドクター株式会社代表取締役。1965年生まれ。大学卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。2000年に退社、個人金融の総合コンサルティング会社設立。06年に住宅ローンコンサルティング事業を分社し、現在に至る。著書に『住宅ローン1000万円の節約術』(ゴマブックス)、『ウサギのローン カメのローン』(エクスナレッジ)、『顧客がよろこぶ 家づくりの資金計画提案』(日経BP社)などがある。

金利リスクは、本当に注意する必要があるのか

ここ数年は、新規借入する人の約半分が変動金利で借りています。「金利は当面上がらない」と予測した方もいれば、すすめられるがままに決めてしまった方もいるでしょう。その方々に申し上げます。もし金利が上がった場合にはどうされますか?

日銀の黒田総裁が、「2年以内に物価2%の上昇」を目標に掲げています。これは、長期の金利が2年前後で約2%上昇する可能性が高いということです。そればかりか、金利上昇が始まったら、金利は2%上昇で済まない可能性だってあります。そこで、過去の金利を参考に上昇パターンをいくつか想定し、家計にあたえる影響を試算してみましょう。

【借入前提条件】
当初借入金額3000万円、借入期間35年、元利均等方式

【金利前提条件】
変動金利の店頭金利は、平均4.05%(過去30年間の実績)となる前提で、金利循環が1~3回あるパターンを想定しました。金利は5年おきに変更されるという前提で、試算では店頭金利から優遇幅を差し引いた適用金利を用います。上限と下限は過去の実績から弊社が想定し、金利は現時点から35年分を想定しています。

グラフ1

例えば、残存32年の場合は、このデータの当初32年分の金利推移をもとに試算を行います。もちろん、金利の推移は実際のものは全く別のものになるのですが、金利の変化に応じてリスクがどのようになるのかを把握するための試算とお考えください。パターンA~Cに従って、毎月返済額がいくら上昇するかを表にまとめてみました。表の期間は、現在からの経過年数です。(色がついているのは、最高値を示します)

(1)残存期間26年、現在の金利1.475%(全期間1.0%優遇)

当初毎月返済額:91,487円

  ~6年 7~11年 12~16年 17~21年 22~26年
パターンA 0 +5,174 +13,330 +19,586 +23,607
パターンB 0 +14,239 +33,373 +10,185 +15,444
パターンC 0 +22,871 +13,116 +36,913 +21,646

(単位:円)

(2)残存期間29年、現在の金利1.475%(全期間1.0%優遇)

当初毎月返済額:91,487円

  ~9年 10~14年 15~19年 20~24年 25~29年
パターンA 0 +6,936 +19,139 +30,395 +40,912
パターンB 0 +19,445 +47,178 +9,758 +22,008
パターンC 0 +22,871 +17,494 +44,739 +39,272

(単位:円)

(3)残存期間32年、現在の金利1.275%(全期間1.2%優遇)

当初毎月返済額:88,584円

  ~7年 8~12年 13~17年 18~22年 22~27年 28~32年
パターンA 0 +6,668 +18,150 +28,287 +36,656 +30,640
パターンB 0 +18,569 +45,357 +9,707 +19,958 +31,854
パターンC 0 +22,146 +13,743 +39,324 +28,874 +50,955

(単位:円)

金利上昇のパターンは異なっても、その影響は長い時間が経過してからでてくることがわかります。影響がでるのに時間がかかる理由は、5年特約により金利上昇を毎月返済額にダイレクトに反映しないようになっているからです。
この試算から、金利上昇は、当初の毎月返済額よりも2~5万円程度の上昇をもたらすことがわかります。この上昇に耐えられれば良いのですが、無理であれば金利上昇リスク回避を検討しなければならないでしょう。次に、元利総支払額はどのように変化をするのか見てみましょう。元利総支払額とは、借入に対し、元本と利息を合計でどれだけ払うかというものです。

次に、元利総支払額はどのように変化をするのか見てみましょう。元利総支払額とは、借入に対し、元本と利息を合計でどれだけ払うかというものです。

  金利そのまま パターンA パターンB パターンC
残存26年 3,842万円 4,080万円 4,150万円 4,412万円
残存29年 3,842万円 4,413万円 4,458万円 4,643万円
残存32年 3,720万円 4,577万円 4,605万円 4,806万円

金利が上昇すると、総支払額は大きく上昇することがわかります。240~1000万円のコスト負担増は、家計にとって非常に危険的な水準なものがあるといえるでしょう。

金利が上がるかどうかは、その予測は非常に困難です。予測が当たれば良いのですが、万が一上昇すると、家計には深刻なダメージとなってしまうケースが存在しています。金利上昇の家計への影響を知らずして変動金利を選んだ方は、必ず自分で試算をして下さい。

家計は金利リスクに耐えられるのか

金利上昇に対して、家計はどれくらい耐えられるのかを確認しておきましょう。一般的には、物価や金利が上昇すれば、個人の収入も上昇するので実質的な負担はない、という考え方もあるでしょう。ただし、この原則は、企業収益と賃金が連動するはずという考え方が前提になっています。最近の労働分配率の推移をみてみましょう。労働分配率とは、生産活動によって得られた付加価値のうち、労働者がどれだけ受け取ったのかを示す指標のことです。この割合が一定であれば、生産活動の上昇がすなわち賃金の上昇につながるということになります。

グラフ2
出所:ユースフル労働統計-労働統計加工指標集-2013、内閣府等のデータを弊社が加工

グラフ2では、名目GDPを指数化したものと、労働分配率(1人あたり雇用者報酬を就業者1人あたりGDPで除したもの)の推移をあらわしています。2010年までのデータしかありませんが、1990年から1997年までGDPは上昇し、2007年まではほぼ横ばいだったにもかかわらず、労働分配率は徐々に下がっていったこと、またGDPが2008、2009年に落ち込んだ時期には、労働分配率はほぼ横ばいでした。今後、景気がよくなれば、労働分配率が維持され賃金が上がると確信するには、ほど遠いデータだと感じます。
安倍政権は経済対策の中で、賃上げ税制の拡充などで、景気の底割れを防ぎ、景気回復を後押しするよう配慮していますが、その実効性は専門家の間でも議論がわかれていて、今回はその効果を考慮するのはひかえさせていただきます。さらに、終身雇用制度が崩壊しつつある中、2012年には非正規雇用が全体の35%をしめるなど、所得格差が拡大傾向にあり、雇用と収入が不安定になっている層が増えていると考えられます。こうした前提にたてば、収入水準の変化について楽観的な見通しは持つべきではない方が、多数派なのではないでしょうか。

では、実際に家計がどれくらいの金利リスクを許容できるかを計算してみましょう。それは、FCF(毎月家計収支で余り自由に遣えるお金のこと)で測ることができます。FCFは、筆者が考えた指標です。
現時点でのFCFを計算するのは簡単で、今年と去年の預金残高の増額分を見ればよいからです。計算方法をあげてみましょう。

2013年9月末の預金残高合計額:325万円、2012年9月末の預金残高合計額:255万円預金残高の増額:70万円

ここから、教育費積立と修繕費用積立を除く必要があります。仮に、教育費積立を月2万円、修繕費用積立を月1万円とすれば、月次FCFの計算は次のようになります。

FCF=70万円÷12カ月-教育費積立20,000円-修繕費用積立10,000円=約28,000円

この余ったお金であるFCFが、金利上昇に対する防波堤となるのです。もし、金利上昇によりFCF以上にローン返済額が増えれば、家計収支は赤字に転落してしまいます。そして、就業中かつ子どもが大学にいっていない時期に、家計が赤字化するのは厳禁なのです。

まとめです。
このFCFと金利上昇のシミュレーションとあわせてみれば、残存期間26年のパターンAの場合のみ家計は赤字にならず、他のパターンは赤字に転落します。
家計が常に黒字であれば、経済的な問題はほとんどおきないので、黒字化を死守することが大切です。そのため、万が一金利が上昇する懸念がある場合には、赤字回避のための対策をたてておく必要があります。
というのも、金利が上昇してしまうと、増えたコストを取り返すための手段は全くないからです。そればかりか、対策をおこたると、試算のように1000万円も支払が増えてしまうリスクも潜んでいます。ただし、対策を具体化するにはコストがかかってしまうため、コストとリスクのバランスを十分に検討するのがよいでしょう。具体的な方法については、次回に説明します。


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