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開業25周年を迎え、次のステージへ

<開業25周年を迎えて>

楽天銀行は、2001年7月の開業から数えて、本年で25周年を迎えました。インターネット専業銀行という当時としては全く新しいビジネスモデルへの挑戦から始まり、四半世紀にわたって多くのお客さまにご支持いただきながら成長を続けてこられたことは、ひとえに皆さまのご支援の賜物であり、深く感謝申し上げます。

開業当初、インターネットで銀行口座を開設し、送金や振込を完結させるという体験は、多くの方にとって馴染みのないものでした。しかし今日、当行の口座数は1,800万口座を超え、楽天銀行はデジタルバンクの代名詞として広く認知されるに至っています。この25年間で積み上げてきた顧客基盤・技術基盤・ブランドこそが、当行の最大の財産です。

25周年という節目は、過去を振り返るだけでなく、次の25年に向けた出発点でもあります。「金利のある世界」への移行、キャッシュレス化の進展、AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化——これらはいずれも、当行が次のステージへと飛躍するための大きな変化の波です。開業以来受け継いできたイノベーション精神を胸に、デジタルバンクとしての強みをさらに磨きながら、お客さまの生活をより便利に、より豊かにする銀行であり続けることをお約束します。

<就任1年を振り返って>

2025年度は、連結経常利益1,030億円と過去最高益を大幅に更新したほか、「中長期ビジョン」における2027年3月期の連結経常収益目標約2,000億円も1年前倒しで達成することができました。これは、当行を支えてくださる全てのステークホルダーの皆さまのご支援と、従業員一人ひとりの努力の賜物であり、改めて感謝申し上げます。

「金利のある世界」が本格的に到来し、銀行経営を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。金利上昇は収益機会をもたらす一方で、顧客の金融行動にも変化をもたらしています。預金者の金利感応度が高まり、より有利な運用先を求めて資金が動く中、「貯蓄から投資へ」の流れも加速しており、預金獲得競争は一段と激しさを増しています。加えて、メガバンクがデジタル領域への参入を本格化させる一方、大手通信キャリアも金融サービス各社を傘下に置くことで自社のエコシステムを構築・拡大し、顧客の囲い込み戦略を本格化させる等、競争の構図そのものが変化しています。

こうした環境変化は、デジタルチャネルや利便性といった要素がコモディティ化しつつあることを意味すると同時に、楽天エコシステムという圧倒的な顧客基盤とデータ活用力を持つ当行が、更なる差別化を図る好機でもあると捉えています。足元の好調な業績に安住することなく、この変化を正面から受け止め、次の成長の土台を築くことが、経営者としての私の責務です。

この1年は、「競争に勝ち続けるための経営とは何か」を問い直す1年でもありました。意識したのは、「過去の成功体験に縛られない」という姿勢です。当行はデジタルバンクの先駆者として業界をリードしてきましたが、競争環境は急速に変化しており、過去の成功がそのまま通用する時代ではありません。マーケティング、AI・テクノロジー、人的資本という領域を重点課題として位置づけ、それぞれに具体的な施策を打ち出してきたのも、この認識に基づくものです。この1年で蒔いた種を着実に育て、次の成長ステージへの歩みを進めていきたいと考えています。

マーケティング

競争環境の変化に対して、従来の延長線上の施策では対応しきれないという強い危機感のもと、最初に取り組んだのがマーケティング組織の変革です。

楽天グループとのシナジー・連携を通じたクロスセルの推進、AIの積極的な活用、よりパーソナライズされた広告やサービス提供を通じたマーケティングの高度化を成長加速のための重点施策と位置づけました。これらを力強く推し進めるため、楽天のメンバーシップをフル活用したデータドリブンのマーケティングを推進するマーケティング本部を新設するとともに、楽天グループのクライアントとの取引強化に向けて営業組織の体制変更と人員増強を行いました。その成果として、2025年度末のメイン口座数は590万口座に達しており、お客さまとの関係が着実に深化しています。

また、預金獲得戦略を強化するため、アプリのUI/UXの改善にも取り組みました。一例として、銀行アプリ内でボーナス金利プログラム表示枠を新設し、優遇金利の認知度向上を図るとともに、楽天カードアプリ内での円普通預金残高表示機能を追加し、楽天カードユーザーの楽天銀行口座への誘導を促進しています。こうした楽天グループサービスとの密接な連携によるシームレスな顧客体験の提供が、当行の競争優位性を体現しています。

AI・テクノロジー

テクノロジーの活用は、デジタルバンクである当行の事業運営の根幹です。2025年度は、AIの活用領域を大きく拡大しました。

広告ビジネスにおける顧客セグメンテーションの精緻化に加え、カードローンの審査プロセスでもAI活用を進め、審査精度の向上と処理速度の改善に取り組み、取引量拡大・貸し倒れリスクの低減の両立を図っています。また、不正検知の精度向上にもAIを活用し、業務効率化との両立を進めています。さらに、生成AIによるコーディング・SQL作成支援等によりシステム開発・運用の効率化を実現しているほか、決算説明会では、私のAIアバターによる決算概要の説明といった取組も行っています。

体制面では、AI推進委員会を設置し、全社的なAI活用の優先順位付けと進捗管理を行う体制を整えています。テクノロジーへの投資は、単なるコスト削減のための手段ではなく、お客さまへの価値提供を高め、当行の競争力を持続的に強化するための成長投資であり、今後も、当行ならではのデジタルの強みをより広い顧客層に届けるための取組を継続してまいります。

人的資本

AIが今後一層普及し、浸透が進んだとしても、当行の競争力の根源は、最終的には人材にあることは変わらないと考えています。「安心・安全で最も便利な銀行」、そしてその先にある「世界一のデジタルバンク」という目標に向けて、全社員が一丸となってチャレンジする組織となるためには、相互信頼・相互責任の精神が重要であると考えており、社長就任当初より全社に向けてメッセージを発信してきました。併せて、多様な人材が安心して業務にあたることができる環境整備、各自が自尊心を持って業務に注力し、自己実現をできる枠組み、コミュニケーション活性化と風通しの良い風土づくりに向けた取組を推進しました。

データサイエンス、リスク管理、デジタルマーケティング等、多様な専門性を有する人材を積極的に採用するとともに、変化する事業環境並びに激化する人材獲得競争の中でも優秀な人材を獲得・維持し、持続的な成長を果たすために、新卒初任給を引き上げました。楽天グループのグローバルな人材ネットワークも活用しながら、銀行としての専門性とデジタル企業としての機動性を兼ね備えた人材基盤の構築を進めています。

また、デジタルバンクに求められる人材を育成するための各種研修の充実や従業員が主体的に能力開発・キャリア形成に取り組める機会の提供に加えて、評価制度の改定を実施しました。目標達成に向けたプロセスを重視するコンピテンシー評価を重視することで、従業員が組織の目標と自らの役割を深く結びつけ、期待役割を継続的に発揮し、ともに成長していくことを目的としています。加えて、従業員一人ひとりが高いモチベーションとエンゲージメントを維持しながら安心して挑戦し、成長を実感しながら自らのキャリアを主体的に形成できる環境の整備にも努めています。

相互信頼

風通しよいコミュニケーションで
お互いに協力し
一致団結する

相互責任

自分の役割を超え
全力を尽くして
部門や全社の目標を達成する

<ガバナンスの強化>

持続的な企業価値の向上には、実効性の高いガバナンス体制の構築が不可欠です。業績向上のみならず、ガバナンスの実効性を確保し、全てのステークホルダーの皆さまの信頼に応えることが、経営者としての重要な責務であると認識しています。

6月の定時株主総会では、新任取締役3名、新任監査役2名を迎え入れました。社外取締役には、弁護士として豊富な見識・経験を有する河井聡氏、及び金融機関での経験に加え、起業家・経営者としての多様な経験とグローバルな組織での要職経験を有する小木曽麻里氏の2名を新たに選任しました。これにより、社外取締役は3名から4名へと増員され、取締役会における独立した視点と監督機能がさらに充実しました。監査役についても、金融行政の要職を歴任した池田潤氏が新たに常勤監査役に就任するとともに、格付機関での豊富な経験を有する大洞聖子氏が新任社外監査役に就任しました。

今回の体制強化は、単なる人員の増強にとどまるものではありません。多様な専門性を取締役会・監査役会に取り込むことで、経営の意思決定の質と監督機能の実効性を高めることを意図しています。意思決定の客観性と透明性を一層高めながら、変化のスピードに対応できるガバナンス体制を継続的に整備してまいります。

<フィンテック事業再編について>

定時株主総会において、楽天カード株式会社及び楽天証券ホールディングス株式会社を子会社化するフィンテック事業再編について、株主の皆さまのご承認をいただきました。2026年10月1日の効力発生に向けて、統合プロセスを着実に進めています。

本再編の戦略的な意義は、一言で言えば「楽天グループの金融機能を一つの意思のもとに束ね、お客さまに対してより大きな価値を提供できる体制を構築すること」にあります。当行はこれまで、国内金融市場のリーディングカンパニーを目指して、お客さま基盤の拡大と収益力の強化、フィンテック分野の成長に取り組んでまいりました。しかし、環境変化が急速に進む中、銀行・カード・証券の連携を一段と強め、より素早い経営判断と踏み込んだ事業連携を可能にすることが、当行の持続的な成長と企業価値の向上に資すると判断しました。

カード発行枚数約3,300万枚・ショッピング取扱高約27兆円の楽天カードと、総合口座数約1,400万口座・預かり資産約50兆円の楽天証券が加わることで、当行グループは、唯一無二の総合フィンテック企業へと拡張します。

これまで銀行・カード・証券はそれぞれ独立した形で事業を展開してきましたが、お客さまの金融ニーズは、給与受取・日常決済・資産形成・借入と一体的につながっています。銀行・カード・証券が一体となって運営されることで、楽天グループが有する1億超のメンバーシップとの接点を最大限に活かし、お客さまの生活のあらゆる場面においてシームレスな金融体験を提供できるようになります。これは、当行単独では実現し得なかった顧客価値の創造です。

本再編に係る最終合意公表後の株価の下落については、経営として真摯に受け止めています。一方で、今回の判断は短期的な視点ではなく、当行が今後も競争力を維持し、持続的に成長していくために必要な再編であるという確信に基づくものです。本再編により、2028年3月期で年間約330億円、中期的には年間約850億円以上の相乗効果の創出を見込んでいます。また、現時点では定量化できていない相乗効果として、法人顧客基盤の拡大やデータ・AI活用による効果があり、これらが段階的に拡大することを更なるアップサイドとして見込んでいます。各社が単独で達成できる経常利益の成長に相乗効果を積み重ねることで、2030年3月期の経常利益として、4,000億円以上の達成を目指してまいります。

本再編は親会社である楽天グループ株式会社との取引であることから、経済産業省が公表している「公正なM&Aの在り方に関する指針」の趣旨を踏まえ、利益相反を回避するための措置を講じました。楽天グループ株式会社の取締役を兼ねる当行取締役会長の三木谷氏、及び2025年3月まで楽天グループ株式会社の常務執行役員を務めておりました私自身は、当行における本再編に係る取締役会の審議及び決議に参加していません。また、当行の独立社外取締役等で構成される特別委員会を設置し、2026年2月から5月にかけて合計18回開催するとともに、外部の専門家を起用して独立当事者として様々な観点から協議を重ねてまいりました。株式交付比率については、複数のフィナンシャル・アドバイザー及び特別委員会の第三者算定機関による算定結果、フェアネス・オピニオン、デュー・ディリジェンスの結果、並びに特別委員会からの意見を総合的に勘案した上で合意に至ったものです。こうしたプロセスの厳格な実施が、本再編の公正性を担保するものと考えています。

本再編の効力発生後は、シナジーの実現に向けた統合プロセスを着実に推進することが最優先課題となります。シナジーを具体化しながら、銀行・カード・証券の一体運営を段階的に深めてまいります。

<ステークホルダーの皆さまへ>

開業25周年という節目の年を迎え、1,800万超のお客さまにお選びいただいていることへの感謝と責任を、改めて深く胸に刻んでいます。この信頼に応え続けることが、経営判断の原点です。

デジタルバンクとしての強みをさらに磨き、テクノロジーと人材への投資を継続することで、お客さまの生活のあらゆる場面において生じる金融サービスに対するニーズに応える存在であり続けること——それが、私が就任以来一貫して追い求めてきた姿です。ステークホルダーの皆さまには、こうした取組の積み重ねを企業価値の持続的な向上という形でお示しすることが、私どもの最大の責務であると認識しています。

次の25年は、デジタルと金融の融合がさらに深化し、お客さまの生活・社会のあり方そのものを変えていく時代です。その変化の最前線に立ち続けることが、当行の存在意義であると考えています。全てのステークホルダーの皆さまのご期待に誠実に応えながら、当行をさらに強固で価値ある存在へと発展させてまいります。引き続き、ご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

2026年7月
代表取締役社長

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