ホーム > 資産運用 > FX > はじめてのFX > 外国為替証拠金取引とは
外貨投資には、外貨預金だけでなく外国為替証拠金取引という手段もあります。外貨預金が「資金を外貨建てで預金する」という基本的な取引であるのに対して、外国為替証拠金取引は「資金を証拠金として預け、証拠金の範囲内で外貨ポジションを保有する」という、一段と投機性の高い外貨投資の方法です。
外貨預金は通常、銀行の営業時間内でしか取引できませんが、外国為替証拠金取引は24時間お取引が可能です。取引所為替証拠金取引では、約23時間です。
外貨預金に適用される為替レートは、原則として銀行が午前10時ころに発表する為替レート(TTS、TTB)が丸1日適用されますが、外国為替証拠金取引では、24時間リアルタイムの為替レートで取引できます。
外貨預金では、投資用の円資金で外貨を購入(つまり両替)しますので、投資用の円資金と購入する外貨はその時点では円資金の1倍です。外国為替証拠金取引では、投資用の円資金を「証拠金」として差し入れることによって、その円資金の何倍もの量の外貨ポジションを保有することができます。その何倍もの取引ができることを「レバレッジをかける」といいます。
外国為替証拠金取引では、反対売買によりポジションをクローズすると、円の差金決済で清算されます。また、証拠金残高が「必要な証拠金」未満まで減少すれば、追加で証拠金を差し入れる必要が発生します(このことを「マージン・コール」といいます)。
外貨預金では外貨を購入(=買う)することしかできませんが、外国為替証拠金取引では外貨の「買い」だけでなく「売り」を行うこともできます。したがって、例えば米ドル安・円高の場合、外貨預金では為替差損を被るしかありませんが、外国為替証拠金取引であれば「米ドル売り円買い」取引によって米ドル安・円高で為替差益を得ることもできます。
外国為替証拠金取引においても、外貨預金と同様に、一般に金利の高い方の通貨を買い持ち(あるいは金利の低い方の通貨を売り持ち)していれば毎日の金利収入が得られます。しかし逆に、金利の高い方の通貨を売り持ち(あるいは金利の低い方の通貨を買い持ち)していれば、毎日の金利支払が発生してしまいます。
外貨預金では、為替差益は雑所得課税、金利収益は源泉分離課税にて課税されますが、取引所為替証拠金取引では為替差益およびスワップポイントによる利益が生じたときは雑所得として申告分離課税となります。(取引所為替証拠金取引では他の取引所で上場されている株価指数先物取引等の市場デリバティブ取引や店頭FXなどの店頭デリバティブ取引との損益通算ができます。また、損失について3年間繰越控除が可能です。)
楽天銀行では、通常の銀行に比べて外貨預金の仕組みが進んでおり、既に外貨預金において(1)「24時間取引」と(2)「リアルタイムレート」を実現しています。
したがって、上記のうち(3)「レバレッジ」、(4) 「差金決済」、(5)「外貨売りもできる」、(6)「金利は受け取りだけでなく支払う場合もある」、(7)「税金」、の部分が違うということになります。
更に、楽天銀行の外国為替証拠金取引は、東京金融取引所が提供する「くりっく365」ですので、(7)「税金」については、一律20.315%の申告分離課税で、かつ、他の先物取引損益と損益通算できるという税制優遇メリットがあります。
外国為替証拠金取引は、外貨預金よりも大きなポジションを取ることができます。したがって、外貨預金に比べてリスクの高い取引であるといえます。
(例)100万円の資金を元に外貨預金と外国為替証拠金取引をそれぞれ行なう。外国為替証拠金取引のレバレッジは20倍とする。
つまり、同じ100万円を元手にしていても、外国為替証拠金取引では外貨預金の20倍の量に相当する外貨を取引(このことを 「レバレッジ20倍」 といいます)する為、外貨預金の20倍もの大きな為替損益が発生します。
このように、外国為替証拠金取引は、外貨預金に比べて高リスク/高リターンを狙う、投機性の高い取引であるといえます。
「外貨預金の金利をより多く受け取りたい」という取引手法のリスク
外国為替証拠金取引においても、外貨預金と同様に、金利の高い方の通貨を買い持ち(あるいは金利の低い方の通貨を売り持ち)していれば毎日の金利収入が得られます。しかし逆に、金利の高い方の通貨を売り持ち(あるいは金利の低い方の通貨を買い持ち)していた場合は、金利の支払いが発生してしまいます。
このことを利用して、レバレッジをかけて金利の高い通貨を買い持ちして、より多くの金利収入を得ようという、「より効率的な外貨預金」という感覚で外国為替証拠金取引をする人もいます。
しかし、この方法が上手くいくのは、あくまで受け取る金利差益が為替差損をカバーできる場合のみです。つまり、金利を20倍受け取っても、その金額以上に為替差損を被ってしまえば、トータルでは損失になります。
この「レバレッジをかけて金利の高い通貨を買い持ちして、より多くの金利収入を狙う」という取引は、一方的な円安傾向が始まった2005年以降あたりから流行し始め、2006年半ば以降は個人投資家の間でもこの取引を大きなレバレッジで行うことが流行し、巨額の利益を上げる人も現れて話題になりました。しかし急激な円高局面においては、この手法を行っていた人々の中には、僅か数日間に大きな為替差損を被ってしまったケースもあります。
失敗の原因は「円安一方向に賭けた取引」を「過大なレバレッジで実行した」ことにあります。
外国為替証拠金取引はレバレッジをよく考えて行うことが大切
外国為替証拠金取引では、「いつも結局、マージン・コールに当たってしまって、損失に終わる」という人も数多くいます。その原因は殆どが「レバレッジのかけ過ぎ」です。たとえ取引の仕組み上では20倍までのレバレッジが許容されているからといって、20倍の目いっぱいのレバレッジで全額を賭けて取引する必要は無いのです。
「適正なレバレッジ」は、資金の性質や取引の目的などによって人それぞれ異なりますが、例えば2倍から3倍程度のレバレッジで取引することも可能です。この場合、100万円の資金を元に米ドル円が100円の際に取るポジション(売買する外貨の量)は、100万円 ÷ 100円/米ドル × 2倍から3倍= 2万から3万米ドル、ということになります。
また、「一度に賭ける損失量は、元手の資金の5%程度にとどめたい」ともよく言われます。つまり、100万円の資金を元に取引する際には、100万円 ×5%=5万円程度の損が出たら、その取引は一旦やめて考え直すべきであるということです。このような取引をロスカット(ストップロス)といいます。ロスカットのルールをいかに厳格に守ることができるか、というのが、「長く為替市場で生き残る」コツのひとつであるといえます。