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お取引の際に必ずお読みください 外貨預金の重要事項
こんにちは。楽天銀行です。
2013年7月30日より取扱い開始をし、ご好評の中国人民元預金。
さらなる投資を検討されているお客さま、まだ投資をされていないお客さまへ、中国人民元への投資検討の材料になればと「中国特集レポート」をご用意いたしました。
レポートの製作は、中国・香港に上場する企業のデータブック「中国株二季法」を出版するDZHフィナンシャルリサーチ社様にお願いをいたしました。中国に関する情報収集に強みのある企業が製作したレポートをぜひお楽しみください。
【ご注意】
中国政府は、国際決済取引におけるドルへの依存度の低下を図り、一方で人民元の国際決済での使用を解禁させ、貿易決済における人民元の使用を推進させています。それを裏付けるように、サービス貿易を除く中国の貿易決済総額に対し、2010年は2%台だった人民元の決済比率は2012年には8%台まで拡大を続けており、さらなる拡大を見込む声も一部からは聞かれています。そのほか、2008年の韓国との通貨スワップ協定の締結を皮切りにその数を増加させており、スワップ協定を締結した相手国との人民元決済の広がり、さらには流通しやすい環境を作り出すことも推し進められています。
中国政府が「人民元の国際化」を推進するなかで、人民元決済は増加の一途を辿っています。
まず、人民元決済の歴史を紐解くと2009年7月に試験的な意味合いとして上海市をはじめとした中国5都市、そして一部の企業に限って香港・マカオ・ASEANとの間での貿易取引において決済に用いることが可能となりました。そして、2012年にかけては地域が中国をはじめとした世界全体となり、対象地域に関する制限が撤廃されるなど、一部制限は設けられたものの、企業の人民元決済に対する規制は緩和されていきました。こうした規制緩和が功を奏し、人民元決済額は上昇の一途を辿ります。中国のサービス貿易を除く貿易決済総額に対する人民元決済比率は、2010年は全体の2.2%だったものが、2011年には6.6%、2012年には8.4%まで拡大を続けており、人民元決済の規模拡大は順調なものとなっています。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、過去2年間における世界の決済に占める人民元の割合については他のアジア通貨がほぼ変化していないのに対し3倍以上と群を抜いています。
まず、人民元のオフショア市場の拡大を説明する前に、人民元が取引されている市場を説明する必要があります。一つは「オンショア市場(本土市場)」であり、もう一つが「オフショア市場(本土以外)」です。なぜ、二つの市場が存在するかといえば、オンショア・オフショア市場においては、それぞれ取引参加者や規制などに違いがあり、取引レートについても異なるものとなっています。
現在、中国本土以外の取引市場である「オフショア市場」が急拡大を遂げています。歴史を紐解けば香港が最初のオフショア市場ということになるのですが、2004年の人民元預金の解禁をきっかけに当局は人民元取引の規制緩和を矢継ぎ早に実施し、2009年7月には人民元貿易決済が開始され、2010年7月に個人・法人を問わず、人民元口座の開設ならびに決済を自由にすることができるようになりました。こうした香港での規制緩和により人民元取引に対するハードルが低下したこと、市場の見方が大きく変化したこともあり、人民元のオフショア市場はアジアのみならず、前述したスワップ協定を足がかりに、イギリス・フランスといった国々もオフショア市場の中心的な役割を担おうと手をあげています。
オフショア市場において人民元の利用を促すものとしては、香港における「点心債」の発行があげられます。点心債とは、外国の企業などが香港にて『人民元建て』で発行する債券のことです。
オンショア市場とオフショア市場の比較
オンショア市場(中国本土) | オフショア市場(中国本土外) | |
---|---|---|
規制当局 | 中国人民銀行・国家外為管理局 | 香港金融管理局・中国人民銀行 |
為替制度 | 中国人民銀行が基準値を発表(毎日)、 必要に応じて為替介入を実施 |
決裁は中国銀行(香港) |
規制 | 強い | ほぼ自由化 |
市場参加者 | 中国本土居住者・認可された投資家 | 中国本土非居住者 |
これまで人民元取引におけるグローバルな動きを伝えてきましたが、日本における人民元取引の現状とこれからについては述べておく必要があります。まず、これまでの動きを見ると、日本の財務省といった金融当局においても東京に人民元のオフショア市場を創設することについて前向きな意向を示しています。
人民元取引については、まず野田前首相が2011年12月25日に訪中した際の首脳会談において「日中両国の金融市場の発展に向けた相互協力の強化」に関する合意がなされました。これを受けて、2012年6月1日から東京、上海の両市場において日本円と人民元の直接取引がスタートしています。これについては、これまではドルと円、ドルと人民元といったようにドルを介して取引されることが多かったのですが、日本円と人民元の直接取引の広がりは、企業の取引コストや金融機関などの決済リスクを低下させることができることから、今後の取引拡大が期待されています。
これまで見てきたように様々な角度から「人民元の国際化」は進んでいます。ただし、依然として中国政府・人民銀行による厳しい為替管理や取引規制は続いており、他の通貨との自由な取引は制限されていることが足かせになってしまっていることも事実です。
また、5年に1度開催され、5年先までの金融基本方針を決める全国金融工作会議が2012年1月に開催された際、人民元と外国通貨との交換規制の緩和について「今後一定期間内の課題」とされており、2012年11月に樹立した新指導部がいかに規制緩和に動けるかがポイントとなっていました。現状、前政権と比較すると金融自由化の動きが加速しつつあるとの見解も一部からは聞かれていますが、さらなる「人民元の国際化」を推進するために、さらなる人民元取引の自由化といった規制緩和が人民元の世界的な地位の向上につながっていくものと思われます。それを裏付けるように、2013年政府活動報告にも「利率・為替レート改革と人民元の国際化」という文言が示されているほか、李克強首相も為替制度や金利の自由化などを含めた改革を進めていく態度を鮮明にしていることから、習近平・国家主席をはじめとした指導部がこうした改革をいかに早く実行に移せるかが最大のポイントになってきそうです。
これまで中国政府は「経常取引」については、1996年12月に国際通貨基金(IMF)の定める協定第8条(※国際収支の悪化を背景に為替取引を規制しないことを定める協定)を受け入れたことで、制限を撤廃していましたが、資本取引については一部が自由化されるにとどまっており、現在でも域外からの不動産などを対象にした「投機マネー」の資金流入は厳しく規制されています。
一方で中国政府が上海に設置を計画している「自由貿易試験区」では、こうした資本規制が緩和される方針となっています。これは中国の発言力を強化する狙いがあるとみられるほか、ドル・円・ユーロ(世界の取引量に占める割合が大きい『G3』通貨)に対抗する施策とも言えそうで、さらなる人民元の国際化への期待を高めることになりそうです。