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(2012年11月29日掲載)

特別寄稿 「フラット35」での借り換えは、こんなケースでもメリットあり!

前回のインタビュー記事で、皆さまからご好評をいただいたファイナンシャル・プランナーの浅井秀一さんに、「このようなケースでも、フラット35での借り換え効果がある」という観点から原稿を執筆していただきました。
「自分の場合、借り換え効果はないかな?」と思っていらっしゃる方も、ぜひお読みください。

執筆 浅井秀一(あさい・しゅういち)さん

プロフィール
ストックアンドフロー代表取締役。「ゆとり返済」の危険性に最も早く警鐘を鳴らし、かつての「繰り上げ返済・借り換えブーム」の仕掛け人となったことでも知られる、FP経験25年の独立系ファイナンシャル・プランナー。
「いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!」(ダイヤモンド社)、などの近著がある。
いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!

おもな内容

  • 「フラット35」での借り換えで、効果が確定する人
  • 借り換え効果の試算(1):「フラット35S」の適用を受けて借りている人
  • 借り換え効果の試算(2):民間の「固定金利選択型ローン(10年固定)」で借りている人
  • 今後の金利動向に関する留意点

「フラット35」での借り換えで、効果が確定する人

みなさん、こんにちは!ファイナンシャル・プランナーの浅井です。
まずは、前回のインタビュー記事の内容も含めて、「フラット35」での借り換えメリットがあるケースを確認しておきましょう。

  1. 10年ほど前に住宅金融公庫融資などの公的住宅ローンを借りた人
    • 最も大きな借り換え効果があります。
  2. すでにフラット35を借りていて、現在の金利水準との差がおおむね「0.5%」程度以上ある人
    • 楽天銀行の「借り換えキャンペーン」(融資事務手数料が、「融資額×0.735%」に引き下げ)を利用する場合は、借り換え前後の金利差が「0.4%」前後でもメリットが出てきます。
      2.2%~2.3%程度の金利で借りている方も、楽天銀行に「借り換え効果の試算」を依頼してみましょう。
  3. 民間住宅ローンの固定金利型で借りていて、2.5%~2.6%以上の実質金利で借りている人
    • ただし、マイホームの取得時に、購入価格等の100%以上を借りている場合は、残念ですがフラット35で借り換えることができません。民間住宅ローンでの借り換えをご検討ください。

上記に該当する方は、すぐにでも借り換えの行動を起こしましょう!固定金利どうしでの借り換えですので、借り換え効果は将来にわたって確定します。

一方、悩ましいのは、(1)当初の一定期間、金利の引き下げが受けられる「フラット35S」(優良住宅取得支援制度)を利用して借りている方と、(2)「固定金利選択型ローン(10年固定)」などの民間住宅ローンで借りている方、でしょう。
今回は、この2つのケースについて、借り換え効果を検証していきます。

借り換え効果の試算(1):「フラット35S」の適用を受けて借りている人

新規で取得する住宅が一定の優良住宅としての要件を満たす場合は、「フラット35S」の適用が受けられますが、残念ながら、借り換えではこの「フラット35S」が利用できません。そのため、現在、「フラット35S」で借りている方が、通常の「フラット35」で借り換える場合のメリットの有無は、本来の金利水準と、金利引き下げの内容(引き下げ期間、及び優遇幅)によって変わってきます。

【図表1】「フラット35S」による優遇の変遷(抜粋)

借入時期(申込日等) 金利引き下げの内容 備考
①2007年(平成19年)4月23日~ ▲0.3%(当初5年間) 「フラット35S」の取扱いが開始
②2009年(平成21年)4月1日~ ▲0.3%(当初10年間) 金利引き下げ期間が10年に
③2009年(平成21年)6月4日~(資金交付) ▲0.3%(当初10年間、or 20年間) 「20年金利引き下げタイプ」が登場
④2010年(平成22年)2月15日(資金交付)
 ~2011年(平成23年)9月30日
▲1.0%(当初10年間)
▲1.0%(~10年間)&▲0.3%(11~20年目)
緊急経済対策による優遇の拡充

まず、表中の①の時期(平成19年度および20年度)に借りた方は、金利の引き下げ期間が5年と短いため、すでに引き下げの適用が終了しているか、まもなく終了します。また、当時の適用金利(最低水準のところで借りた場合でも、2,64%~3.05%)も高い水準です。したがって、現在のフラット35の金利水準であれば、十分な借り換え効果が得られるでしょう。

次に、表中の②の時期に借りた方は実際には少ないと思われますが、金利の引き下げ期間が10年に伸びたものの、0.3%の金利引き下げしかなく、適用金利も3%前後でしたので、こちらも大きな効果があります。

では、③の時期(2009年6月4日~2010年1月)に借りた方はどうでしょうか?結論としては、20年間にわたって、0.3%の金利引き下げの適用を受けている方であっても、当時の適用金利(最低水準で2.57%~3.07%)が高かったため、やはり十分な借り換え効果が期待できると言えそうです。
一例として、2009年の12月に、当時の最低金利(2.6%)で借りたケース(返済期間は30年)で試算を行ってみました(【図表2】参照)。当初の20年間は0.3%の金利引き下げが適用され、2.3%の金利となっています。
諸費用(約45万円)を上乗せして、金利1.81%のフラット35で借り換えた場合、負担軽減額は年間で4.6万円以上、総額では142万円という試算結果になりました。
ちなみに、2009年6月(3年半前)に当時の最低金利(2.99%)で借りたケース(他の前提条件は同じ)であれば、年間10万円以上、残り26年半の総額では284万円の負担軽減となります。

【図表2】3年ほど前に「フラット35S」で借りた人の、借り換え効果の試算例

※当初の返済期間=30年

年間:約4.6万円~6.3万円の負担軽減 残り27年間の総額では、約142万円の負担軽減!

これに対して、【図表1】の④の時期(2010年2月15日~)以降に「フラット35S」の適用を受けて借りた方は、金利の引き下げが最大で1.0%あることなどから、当時の最低金利水準で借りている場合、現状では借り換えメリットはありません。ただし、2010年2月(最低金利は2.6%)~2010年6月(同2.41%)に借りた方であれば、あと0.1%~0.2%ほど金利が下がると借り換え効果が出てくるでしょう。
また、この時期に該当する方でも、<融資事務手数料・定額タイプ>の「フラット35S」を利用しているケースなど、当時の最低水準より高い金利で借りている場合は借り換え効果が出ることもありますので、該当する方は、融資事務手数料が安く金利も低い楽天銀行に「借り換え効果の試算」を行ってもらうことをおすすめします。

借り換え効果の試算(2):民間の「固定金利選択型ローン(10年固定)」で借りている人

続いて、現在は民間住宅ローンを借りている人が、フラット35で借り換える場合の効果を見てみましょう。
このケースにおける最大のポイントは、「フラット35で借り換えれば、将来的な金利上昇リスクがなくなる」という点です。
ひと口に民間住宅ローンと言っても、変動金利型や固定金利選択型など、さまざまな金利タイプがありますが、ここでは「固定金利選択型ローン(10年固定)」で借りている場合を例に、確認してみることにします。

【図表3】「10年固定」の金利推移(大手銀行の例)

※各年の5月時点の金利

  2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
適用金利 2.35% 2.10% 2.25% 2.35% 2.15% 1.45%
保証料(内枠方式) 0.20% 0.20% 0.20% 0.20% 0.20% 0.20%
実質金利 2.55% 2.30% 2.45% 2.55% 2.35% 1.65%
11年目以降の金利優遇 ▲0.4% ▲0.4%
~▲1.0%
▲1.0% ▲1.2% ▲1.2% ▲1.4%

上掲の【図表3】からもわかるように、「固定金利選択型ローン(10年固定)」の金利が大きく下がったのは、2012年に入ってからです。
まずは、1年半前の2011年5月に、2.35%の実質金利で「10年固定」を利用した方が、フラット35(実質金利:2.2%=適用金利:1.81%+団信特約料の負担分:0.35%、で設定)で借り換えた場合の試算結果をご覧ください。

【図表4】1年半前に「10年固定」で借りた人の、借り換え効果の試算例

※当初の返済期間=30年

このケースでは、「10年固定」の11年目以降の実質金利が、現状より0.1%ほど低い「2.265%」となった場合、「フラット35」で借り換えた場合との損得はない、という試算結果になりました(借り換えでかかる諸費用は、すべて上乗せして借り換えています)。
細かな検証数値は割愛させていただきますが、将来的な実質金利がこの水準以内となるのは、この前提においては、①短期金利の上昇が1%未満にとどまる、②長期金利は現在より低くなる、といった状況下に限られます。さすがに想像できない水準だというのが筆者の見解です。

今回は、おおまかな目安として、2%程度以上の適用金利(保証料を除く)で「10年固定」を借りている方の場合、「フラット35で借り換えれば、返済額などの負担を増やすことなく、将来的な金利上昇リスクが完全に排除できる」、という点を押さえておきましょう。

今後の金利動向に関する留意点

今後に金利については、しばらくの間、大幅な金利上昇は起こらないという見方が一般的で、筆者もそう考えています。ただし、衆議院選挙後に発足する新内閣の政策には注意が必要でしょう。
自民党の安倍総裁が首相となった場合、日銀に対する金融緩和圧力が激しくなり、場合によっては日銀法の改正まであるかもしれません。「3%の物価上昇を目指す」という報道も一部では見られます。
金融政策だけですぐに物価が上がるとは到底思えませんが、仮にそうなった場合は、金利上昇による「日本の財政危機」が現実のものとなる可能性も見えてきます。

「10年固定」や「変動金利型」における金利上昇リスクについては、拙著(いますぐに、住宅ローンを借り換えしなさい!)をご参照いただければ幸いですが、以前より「リスク」が高まる気配が出てきたことは確かでしょう。借り換えの時期などについては、選挙後の金融と経済に関する政策を見極めた上で判断することが肝要です。

…最後になりましたが、多くの方が、住宅ローンの借り換えメリットを享受されますよう、祈念しております。



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